#6「環境配慮型洗剤」mizukara サステナビリティコーディネーター SERIさん

「島にやさしく、地球にやさしく。mizukaraからはじまるまあるい循環」

宮古島の風に導かれるように移住して10年。観光PRを通して見えてきたのは、美しい自然の裏にある島の課題でした。「ぜんぶ大事にできたらいいな」という想いから、島の植物で作る洗剤「mizukara」を立ち上げ、やさしい暮らしの選択肢を広げる活動をしている、seriさんへお話を伺ってきました。

Interview

●はじまりの物語

この事業を始められたきっかけを教えてください

10年前、ほんとうに偶然のようなご縁で宮古島に移住することになりました。はじめは、こんなに長く住むことになるとは思ってもいなかったんです。でも、暮らしていくうちに、島の自然、人のあたたかさ、空気の流れ、そのすべてに心を掴まれていきました。その後、ミス宮古島として観光のPRに関わる機会をいただいたことで、さらに多くの人と出会い、島の魅力に深く触れることができました。美しい海や空、ゆったりとした時間の流れ、訪れる人の笑顔。そうした素晴らしさに出会える一方で、観光の拡大によって変化していく自然や、島の暮らしにかかる見えない負担にも気づくようになりました。「観光も、自然も、島の暮らしも、どれも大切にできたらいいのに」。そう思うようになったことが、今の活動につながる最初の一歩でした。そして、その想いをかたちにしたのが、mizukaraという洗剤です。島の恵みを活かしながら、地球にも人にもやさしい暮らしを届けたい。そんな願いを込めて、少しずつ取り組みを広げてきました。

●島の植物でつくる、やさしい洗剤

主な事業内容を教えてください。

現在は、環境配慮型の洗剤「mizukara」の開発・販売を中心に活動しています。mizukaraは、宮古島で育てられたレモングラスなどの植物を活用し、すすぎがいらない洗剤としてつくっています。一般的な洗剤と違い、必要以上に水を使わない、自然にも肌にもやさしい設計になっています。そして、mizukaraの大きな特徴のひとつが「量り売り」というスタイルです。使い捨てのプラスチック容器をできるだけ使わず、ガラス瓶で繰り返し利用できるようにしています。これも、島という限られた資源の中で暮らしていく中で自然と生まれた発想でした。もう一つの柱が、サステナブルツーリズムの企画や体験の場づくりです。自然の美しさだけでなく、その土地に息づく文化や、そこに暮らす人たちの想いも含めて、訪れる人たちに丁寧に伝わるような体験を届けています。「ただ見て終わり」ではなく、何かを感じて、持ち帰ってもらえるような時間をつくりたいと思っています。

●ただのモノじゃない、心に残る体験を

活動をしていて「嬉しい」と感じる瞬間はありますか?

mizukaraを手に取ってくれた方が、「こういう選択肢があるなんて知らなかった」とか、「環境に良いって聞くと、使いづらいと思っていたけど、これは気持ちよく使えるね」と言ってくださる瞬間が本当に嬉しいです。環境に配慮することやサステナブルな選択って、どこか「我慢」や「意識の高い人だけのもの」と思われがちですが、mizukaraを通じて「心地いい」「やさしい」「気持ちいい」と感じてもらえること。それが、わたしのいちばんの喜びです。そして、洗剤という“モノ”をきっかけに、誰かの暮らしや価値観にちょっとした変化や気づきが生まれたり、人と人のあたたかいつながりが広がっていく瞬間に立ち会えたとき、これはただの商品ではなく「記憶に残る体験」を届けられているんだなと実感します。そんな瞬間が、わたしにとって何よりの宝物です。

●不思議と巡る、人とタイミングのご縁

宮古島で活動する中で、大変なことはありますか?

離島という環境なので、物流や資材の確保など、客観的に見れば「大変なこと」はきっとたくさんあると思います。でも、なぜか不思議と「大変だな」と感じることが少ないんです。その理由のひとつは、周りに支えてくれる人がいること。困ったときに自然と手を差し伸べてくれる仲間や、必要なタイミングで不思議と物事がうまく回るような感覚があるんです。そういうご縁に恵まれていることが、宮古島で活動を続けられている大きな理由だと思います。
もちろん、日々試行錯誤の連続ですし、学ぶこともたくさんあります。でも、それ以上にこの島にいることが心地よくて、ありがたくて、挑戦を続けたいという気持ちにつながっています。

●自然と共に生きるということ

宮古島だからこその魅力や強みは何だと思いますか?

なんといっても、この島が持つ自然の力です。目の前に広がる海、心地よく吹く風、鳥の声や虫の音。日々、五感で自然を感じながら暮らせることは、言葉では表しきれない豊かさがあります。そうした自然に囲まれているからこそ、「本当に必要なもの」や「やさしい選択」が何なのかを、自分自身の感覚で見つめ直すことができるのだと思います。そしてその気づきこそが、観光にしても、暮らしにしても、より持続可能で心地よいものへとつながっていくと信じています。この島で得られる感覚や学びは、決して都会では得られないもの。だからこそ、宮古島という場所に根ざして活動を続けていく意味があると思っています。

●「まあるい循環」に込めた想い

好きな言葉や、大切にしている想いがあれば教えてください。

会社名でもある「maaru(まある)」には、2つの意味を込めています。ひとつは“循環”を表す「まあるく」という言葉。そしてもうひとつは、私の愛犬「まる」からもらった名前です。自然も人の営みも、感情も、人とのつながりも、すべてが巡りながら、やさしくつながっていく。そんな“まあるい世界”の中で、mizukaraという商品や観光という体験を通して、心と暮らしにやさしい循環を育てていけたらと思っています。“まあるい”という言葉には、角のない、やわらかい、温かいイメージがありますよね。そんな生き方や関係性を、この島で大切にしていきたいと思っています。

●未来へ手渡す、島のやさしいかたち

今後の目標を教えてください。

これからも、mizukaraを通じて、もっと多くの人にやさしい選択肢があることを知ってもらいたいと思っています。宮古島という小さな島で生まれた循環のかたちを、島内外に少しずつ届けていくことが目標です。
そして、観光も暮らしも、未来の子どもたちも、みんなが笑顔でいられるような島の未来を、地元の人たちと一緒に描いていけたらと思っています。大きなことはできなくても、ひとつひとつの丁寧な取り組みが、未来へのやさしい橋渡しになれば嬉しいです。

公式Instagram https://www.instagram.com/mizukara___/


mizukaraは、宮古島の豊かな自然の中で生まれた、環境配慮型の多用途洗剤です。原材料には、自家栽培のレモングラスを使用。化学香料ではない、自然そのものの爽やかな香りが広がります。洗濯や掃除、食器洗い、マスクの曇り止め、マリンスポーツ器材の洗浄など、暮らしのさまざまな“洗う”に対応できる、一本で何役もこなす頼れるアイテムです。最大の特徴は、「すすぎゼロ」でも使用可能ということ。洗濯時には、泡が少ない処方でしっかり汚れを落としつつ、衣類や肌にやさしく、すすぎの水も不要に。これにより、時間・水・電力の節約が叶い、家庭でも環境にもやさしいライフスタイルへとつながっていきます。
mizukaraが目指すのは、ただ環境にやさしいというだけでなく、日常に心地よく馴染み続けやすい価格で健康にも配慮されていて自然と共生する意識を育てること。この“バランスのとれたサステナビリティ”を、商品づくりの軸としています。
販売スタイルもまた特徴的で、宮古島では「量り売り」を導入。使い捨て容器ではなく、ガラス瓶を繰り返し使用することで、プラスチックごみの削減や、資源の循環にも取り組んでいます。この地で暮らす人々と共に、「使う人も、自然も、地域も大切にする」循環を育てていくことがmizukaraの願いです。
洗うことが、気持ちのいい習慣になる。mizukaraは、そんなやさしさの循環を、宮古島から届けています。

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