♯5 一般社団法人 宮古島こどもこそだてワクワク未来会議 副理事長 兼 事務局長 寺町 北斗さん

「支えあいは、島のちから。」子ども・ひとり親・暮らしの困りごとに寄り添う地域支援

県外での法人経営を経て、9年前に宮古島へ移住。これまでひとり親や若者支援、就労・子育て支援など幅広い分野に関わってきた経験を活かし、現在は「一般社団法人宮古島こどもこそだてワクワク未来会議」の事務局長として地域の子どもや家庭に寄り添う活動を続けている寺町さんにお話を伺ってきました。

Interview

●「経験を活かして、島の声に応えたいと思った」

この事業を始められたきっかけを教えてください

—もともとは県外で飲食系の法人を経営していました。営利企業ではあったんですが、雇用の面では、ひとり親や社会的に課題を抱える若者を中心に受け入れていたんです。今で言うアウトリーチや就労支援、子育て支援みたいなことも、自然とやっていましたね。2016年、結婚をきっかけに妻の地元でもある宮古島へ移住してきました。その後、不登校支援の全国規模の相談会があり、宮古島開催の担当になったんです。相談を受ける中で、これまでの経験が活かせると思うようになりました。最初はできる範囲で少しずつ動き出して、ボランティアを募ったところ、積極的に参加してくれたのが専門職の方々や、宮古島で生まれ育った人たちだったんです。
気づけば自然と、相談に対応できる幅が広がっていって、一般社団法人を立ち上げる流れになりました。正直、自分一人のきっかけというより、宮古島にはもともと同じ課題意識を持っている人たちがいて、コロナ禍なども重なって、関心が高まり、地域全体に流れが生まれていった感覚です。

●「困ったときの“ちょっと助かる”をつくりたい」

主な事業内容を教えてください。

—大きく分けて、以下のような事業に取り組んでいます。
・生活相談や同行支援
・民間シェルターの運営
・子どもの居場所(拠点型)の運営
・食支援(ひとり親世帯などへの食品提供やフードパントリー)
・子どもの居場所づくりのコーディネートなど
困りごとはひとつじゃなくて、いろんな課題が重なっていることが多いので、「つなぐ」ことを意識して活動しています。

●「なかった場所が、誰かの居場所になるとき」

やりがいを感じるのは、どんなときですか?

—地域にこれまでなかった社会資源をつくれたときはやっぱりうれしいですね。子どもたちの居場所が新たにできて、そこに地域の方々の関わりが生まれていくと、「ああ、やってて良かったな」と思います。
一昨年には私が事務局長になって、団体の代表には元教育事務所所長の田場秀樹さんが就任しました。理事にも、宮古島のいろんな分野で活躍している方々が加わってくれて、スタッフにも専門職や地元出身者が増えてきています。地域の力を合わせて運営できるようになってきたことも、大きな喜びですね。

●「届かない支援、足りない人材。でもあきらめない」

宮古島という“離島”で事業をする上での難しさはありますか?

—たくさんあります(笑)。例えば食支援をもっと広げたくても、他地域からの支援物資が送料の関係で届かないことがあったり。専門職の人材も少ないので、人手不足に悩むこともあります。「離島は社会資源が不足している」と言われるのは、そういった現実があるからなんだろうなと感じますね。あとは、どの地域でもそうだと思いますが、新しい事業を立ち上げるのってやっぱり大変なんですよ。計画してもイレギュラーは絶対起きるし、継続・強化していくにも根気がいる。でも、そういう部分も含めて「楽しむ」っていう姿勢を大事にしています。

●人のつながりが、この島最大の力

宮古島だからこその「強み」はありますか?

—やっぱり「ヒト」ですね。人のつながりの強さは、宮古島ならではだと思います。住民同士もそうですし、支援団体も企業も行政も、みんな人の集まり。だからこそ、コミュニケーションをとって広がっていく力がある。県外や沖縄本島と比べても、宮古の“ヒトの力”には本当に可能性を感じます。学校や自治会、役所、企業、漁業や農業、観光業まで、さまざまな人たちが関わってくれるからこそ、支援も届くし、団体の運営も成り立っています。

●「やりたいことは、実行!」

好きな言葉や大切にしているモットーがあれば教えてください。

—「やりたいことは実行」です。この言葉は、私が常に心の中で大切にしている信念です。思い描いたアイディアや夢があるなら、ただ考えているだけでは何も変わりません。実際に行動に移すことが、どんな小さなことでも、大きな変化を生む第一歩だと思っています。

●「居場所づくりと、住まいの支援をかたちに」

今後の目標を教えてください。

—いちばん実現したいのは「高校生の夜間の居場所づくり」です。
以前、宮古工業高校や宮古総合実業高校の相談支援員として福祉職で入っていたときから、「放課後に行く場所がない」ことの深刻さは感じていて。なんとか今年こそは形にしたいなと考えています。
それからもうひとつ、宮古島では家賃の高騰が深刻なので、住まいに関する支援メニューも整えたいですね。住む場所がなければ、生活も就労も安定しないと思っています。

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