#9  ビーズアクセサリー作家 Korettta. MAKIKOさん

「海からの贈りものを、耳もとに。」
― 珊瑚のかけらを編む、宮古島の風をまとうアクセサリー

 

宮古島の自然に包まれながら、繊細なビーズで彩られる一点モノのアクセサリーたち。
今回は、島の素材や風景をインスピレーションに、独自の作品を生み出すビーズアクセサリー作家・MAKIKOさんにお話を伺いました。

Interview

●美容師から手仕事作家へ

この事業を始めたきっかけを教えて下さい

もともと美容師として働いていた頃、高校生の卒業イベントでヘアセットを担当することになりました。そのとき、「せっかくだから、髪につけるアクセサリーも手作りしてプレゼントしたい」と思ったのが始まりです。ドレスアップした高校生たちが、私の作ったヘアアクセをつけて鏡の前で笑顔になる姿を見たとき、「あぁ、自分の手で誰かをもっと可愛くできるんだ」と、嬉しさと手応えを感じました。それは、髪型だけでは表現しきれない“その子らしさ”や個性を引き出す瞬間で、アクセサリーの力ってすごいなと実感した出来事でした。そこから自然と、「もっと作ってみたい」「もっと自分の世界を表現したい」と思うようになり、今のビーズ刺繍の制作につながっていきました。

●ビーズで描く、私だけの“可愛い”世界

事業の内容について、教えてください

現在は、ビーズ刺繍によるアクセサリーとがま口ポーチの制作・販売を行っています。すべて一点モノで、既製品のように型にハマったものではなく、自分の感性を頼りにその時々で色や形、素材を選んで制作しています。特にこだわっているのが、ビーズを“もりもりっと”立体的に重ねていくこと。平面的ではなく、まるで小さなオブジェやミニチュアアートのように、ビーズの一粒一粒を積み重ねて、存在感のある作品に仕上げています。アクセサリーはピアス・イヤリング・ブローチなどが中心で、がま口は装飾性と実用性のバランスを大切にしています。どれも“使える芸術作品”として手に取っていただけるよう心がけています。

●“可愛い!”のひと言が、なによりのご褒美

やりがいを感じる瞬間を教えて下さい

一番のやりがいは、やっぱり「自分が想像していたものが、実際に形になって、しかもとびっきり可愛くできた!と実感できた瞬間」ですね。制作のたびに、毎回それを感じています(笑)。でも、それ以上に心が満たされるのは、対面販売やInstagramなどを通してお客様から反応をいただいたとき。「え、可愛い〜!」「これ芸術作品ですね!」「宝物にします!」という言葉をもらったときの高揚感は、何度経験しても嬉しくてたまりません。私は自分の“好き”を形にしているだけなのですが、その「好き」を他の人が共感してくれるということが、すごくありがたく、幸せなことだと思っています。

●離島あるある!?届く頃には何買ったっけ??

宮古島(離島)で事業をしていく中で大変なことはありますか?

正直、大変なことはあまり感じていません。もちろん、物流面での不便さはあります。たとえば、インスピレーションが湧いたときにすぐ必要な材料をネットで注文しても、届くまでに数日かかるので、その頃には「あれ?私何作ろうとしてたっけ?」ってなることもあります(笑)。でもそれも笑い話のひとつ。今は離島でもSNSやオンラインショップなどを活用すれば、全国、世界中の人とつながれる時代。昔ほど「離島だからできない」という感覚はありません。むしろ、宮古島に住みながらものづくりができるって、なんて贅沢なんだろうと思います。

●海と珊瑚と南国の色彩。宮古島がくれるデザインの種

宮古島(離島)だからこその強みはありますか?

一番の強みは、「色彩感覚」だと思っています。私は作品づくりの中で、色をとても大切にしていますが、その色使いに対して「南国らしくて好き」「透明感があって珊瑚みたい」と言っていただけることが多いんです。宮古島の自然は本当に色が豊かです。海の青だけでも、浅瀬と深いところで色が全然違うし、夕暮れ時の空はピンクや紫が混ざり合っていて、毎日違う景色を見せてくれる。その中でも、グラスボートから見た海の中の世界、珊瑚や魚、ゆらめく光たちの美しさは本当にインスピレーションの宝庫です。実際にダイビングが好きなお客様から「このアクセサリー、昔よく潜ってた海の中を思い出した」と言っていただいたことがあって、その時は本当に胸が熱くなりました。

●“好き”のパワーは無限大

好きな言葉や座右の銘はありますか?

「好きこそ物の上手なれ」という言葉が、ずっと好きです。尊敬する刺繍作家さんや、テレビ番組で観た作り手さんたちを見ていると、本当に“好き”をきっかけにすごい技術や知識を身につけていて、「やっぱり“好き”って最強だな」と感じます。私のまわりでキラキラ輝いている人たちも、何がきっかけだったのか聞くと、みんな口を揃えて「好きだから」と答えるんですよね。だからこそ、私もこの手仕事をもっともっと探求して、自分なりの表現を突き詰めていきたいと思っています。

●子どもの頃から変わらない、“手を動かす”楽しみ

あなたにとってこのお仕事とは?

「日々の楽しみ」であり、「自分の素を大切にできる時間」です。小さい頃、おばあちゃんに編み物を教えてもらったり、近所のおばさんの家で機織りを見ていたり。気づけばいつも“手仕事”のそばにいました。大人になってもそれは変わらず、今こうしてビーズ刺繍に夢中になっていることが、自分でも嬉しいです。毎日作業台に向かって、色や形を考えて、黙々と手を動かす時間。それが私にとって、自分を整える大切な時間になっています。

●いつか、街で“私の子”に出会える日まで

これから挑戦していきたいこと、目標があれば教えてください。

ずっと思っていることがひとつあります。それは、「私の作ったアクセサリーやがま口を、どこかで偶然誰かが身につけている場面にバッタリ出会いたい!」ということ(笑)。まだ一度もそういう偶然には遭遇していないのですが、きっといつかそんな日が来るように、たくさんの人に作品を知ってもらえるよう活動を続けていきたいです。そして、誰かの思い出の中に「このアクセサリー、ずっと使ってるよ」と残ってくれるような存在になれたら最高です。

Instagram https://www.instagram.com/_korettta_/

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